3PL選定時のポイント

3PL選定時のポイント

2020.07.30

みなさん こんにちは!
三越伊勢丹ビジネス・サポートのソリューション営業部です。

IMBSフルフィルメントでは母体である百貨店のリソースやノウハウを
生かしたEC(通販)物流のサービスをご提供しております。

さて、今回も引き続き、私たちの業態「3PL」についてのお話です。

3PLの課題と選定時の注意点についてお話したいと思いますが、それには日本における3PLの生い立ちから振り返ってみたいと思います。


いまから30年ほどさかのぼりますが、、、
1990年頃からでしょうか、各企業が“集中と選択”を合言葉にし出したのは。

その選択のなかで「物流」は最初にアウトソースされることとなりました。背景には物流業界の伸長があり、1980年度末には35,000社弱であった運送事業者数が1990年度末には40,000社を超え、以降も右肩上がりの様相を呈していました。倉庫業界においても、新設倉庫の着工が1980年度末には約12,500千㎡であったのが、1990年度末には20,000千㎡弱にまで伸びています(最もこの後、新規着工は一旦下火になるのですが)。
これを機会として物流アウトソーシング市場が活発に成長、「日本型3PL」が誕生しました。

ここで敢えて「日本型3PL」と書きましたが、その理由は「欧米型3PL」と異なる内容であるからです。他の様々なサイトでもこの違いは指摘されている部分です。

では何が違うのでしょうか。

元々は欧米で誕生した3PLの概念は、全くの第3者による包括的な業務請負とゲインシェアリングがベースにありました。「ゲインシェアリングをベースにする」という事は、つまり荷主企業の成長が基本理念にあり、その成長の結果に対して利益を配分するという事です。自社で直接物流業務を行っている領域は無く、契約形態では中間に立ちながらも、物流の運営管理のみにとどまらず情報システムや業務の改革が注力され、如何にして「かかるコストに対して高品質」を実現するかが問われます。

一方で「日本型3PL」は、物流業務の当事者(倉庫会社・運送会社)が元請けになるケースが多く、自身の領域以外はアウトソースをして物流領域全体をカバーします。収益についても実際の物流現場の運営もコストに対して利益を乗せます。再委託先が業務を行ってる領域についても手数料を上乗せして荷主へ請求します。これは日々の運営に対する対価となるために、荷主企業の成長にベクトルが向きにくいという事が考えられます。物流会社からすると、業務改善を進めて物流コストを低減させると自社の売上は落ちてしまう、という荷主と物流企業が「利益相反」の関係であることが課題になります。
更には「元請け」と「再委託先」という構造が発生する領域がある為に、荷主からは、再委託先の物流現場が見えにくくなるという課題もはらんでいます。

しかしながら、日本における「3PL」は後者の方が圧倒的に多いというのが現状です。

では、後者の中で「良い3PL」事業者を見抜くポイントはどこになるのでしょうか?
大きくは以下の3点です。

①5S活動・業務改善活動が盛んな事業者
 この活動が盛んだと荷主の物流コストは低減していきます。つまり物流会社の売上は下
がります。しかし活動を盛んに行っているという事は、それでも事業として成り立ってい
るという事です。なぜ成り立つのかというと、例えば、荷主と契約を締結する際に、低減
したコストをシェアする項目が入っていたり、フォーキャスト(入庫計画や出荷計画)に
対する誤差が大きい場合に、補填金を求められる場合もあります。日々の運営に対する対
価としての料金項目の設定もあるのですが、加えて改善効果に対する収入設計がなされ
ているという事です。荷主側からは不利なようにも見えますが、翻って、物流事業として
「ただの下請け」ではなく「物流領域の責任を持つ」事の現れでもあります。物流センタ
ーを見学する際に、掲示板や各種ポスター・備品置き場・ラインテープなどがきれいに整
備されているところは、活動が盛んであると考えてよいでしょう。
どのような改善活動をしているか直接聞いてみるのも良いかもしれません。
②再委託先の領域まで事前に見学可能な事業者
 一般的な業務委託契約の場合、再委託先に対して荷主は発言権がありません。しかしなが
らこの領域まで見学が可能な場合、元請けである物流会社のスタンスが再委託先まで浸
透している可能性が考えられます。つまり再委託先へ業務を丸投げするのではなく、しっ
かりとコントロールできているという事です。
③荷主の業績や各種数値を聞いてくる事業者
 荷主の事業の売上や利益率、委託前の物流品質を聞きたがる物流会社は良いパートナー
になり得るでしょう。これも荷主側からするとあまりアレコレ聞かれるのは抵抗あるか
もしれません。しかしこれらは、業務改善活動を進めていくうえで重要な指標になります。
売上高物流費率がわからないと、例えば改善によって1件あたり50円下がったところで、
その効果があるのかどうか物流会社側からはわかりません。年間のクレーム件数ががわ
からないと作業ミスが3か月間で1件であっても、それが良い事なのかどうかわからな
いわけです。「いくらコストを落とせば荷主の収益が改善したと言えるのか」「どれだけ作
業ミスを減らせたらCSが向上するのか」といった具体的なKPIを設定するために必要な
情報なのです。細かい情報を積極的に開示して、事業を成長させる為に協力をしてもらい
ましょう。

大まかではありますが以上3点を注意しながら物流会社と話をしていると、良いパートナーになり得るかどうかが、見えてくるはずです。


引き続き、三越伊勢丹ビジネス・サポートのソリューション営業部をよろしくお願い致します。