通販物流(EC物流)とは?通販物流を代行する際のメリットや方法を解説

通販物流(EC物流)とは?通販物流を代行する際のメリットや方法を解説

2022.12.29

通販物流(EC物流)とは?

昨今は誰もが日常的にインターネットで商品を購入するようになりました。スマートフォンの普及はもちろん、通販(EC)サイトの充実やコロナ禍によりおうち時間を過ごす機会が増えたことによる影響です。インターネットで購入した商品が消費者の手元に届くまでの過程で重要な役割を担っているのがまさに「EC物流」です。通販事業をこれから始める際や、事業拡大を考える際には、EC物流について理解しておくことが必要不可欠となります。

本記事では、EC物流とはいったいなにか、現状や課題点、代行する際のメリットや方法についてを解説していきます。

EC(通販)物流の現状を知る

EC(通販)物流とは

EC物流とは、EC(Electronic Commerce/電子商取引)事業を運営する会社が行う商品の入荷から出荷・配送までのプロセスのことを指します。通販サイトと呼ばれる楽天市場やAmazon等のECサイトを利用して商品を購入した際に、消費者の手元に商品が届くまでの一連の流れがEC物流です。

EC物流の市場規模と動向

EC物流の市場規模は年々増加傾向にあり、経済産業省の「BtoC-EC市場規模の経年推移」の調査によると、令和3年の日本国内のBtoC(企業から一般消費者)のEC市場規模は約20.7兆円となっており、直近の10年間で約2倍の規模へと拡大しています。※

また、今後も市場規模は拡大されていくことが予想されており、日本国内のEC物流の市場規模は供給も拡大していますが、それ以上に消費者の需要が高まっている状況と考えられます。

※出典: 経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」

EC物流における未来

業務の省略化や効率化のために、今後ますますAI技術やloTなどの活用が増えていくことが予想されます。

令和3年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」においても物流のデジタル化(物流DX)が推進されており、各事業者は、業務のプロセスを自動化・機械化する仕組みを考えていく必要性があると考えられるでしょう。

※出典:国土交通省「 総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)

EC物流全体の課題

EC物流は通販サイトの充実にともないEC事業全体で急速な成長をしている一方で、様々な課題を抱えています。

具体的にあげると、以下の9つです。

  1. 在庫管理が複雑
  2. 荷物の量が少なく配送の頻度が高い
  3. 人手不足
  4. 複数サイトを管理しなければならない
  5. 作業ミスが増えやすい
  6. 配送料の値上がり
  7. 個別の要望に応えなくてはいけない
  8. 閑散期と繁忙期への対応
  9. 配送日時を厳守しなければならない

それぞれ順に解説していきます。

在庫管理が複雑

EC物流では、取り扱う商品の数が多ければ多いほど、在庫管理が複雑になりやすいです。また、倉庫の管理スペースが細分化されることによりピッキング作業も難しくなります。そのため、ピッキング作業に手間やコストがかかるだけではなく、作業進行上の人的ミスが発生しやすくなります。

荷物の量が少なく配送の頻度が高い

EC物流では、1回に配送する物量が少ないが頻度は高い多頻度小口配送であることが多いです。そのため、トラックの積載率が低くなり、配送の効率が悪くなってしまいます。
積載率を上げ、作業の効率をよくする方法を考える必要があります。

人手不足

EC物流は人手不足の傾向にあります。インターネット通販の需要が高まり、それに伴って必要とする人員数が増えているからです。特に全国的に人員が不足する繁忙期などはすぐに必要な人材を確保できるとはかぎりません。また、自社で物流スタッフを育てるためには十分なノウハウやマニュアルが必要となるため、育成のためのコストもかかります。

複数サイトを管理しなければならない

複数の通販サイトから注文を受けている場合、注文は入りやすくなりますが、一方で管理が複雑になってしまいます。
管理が不十分だった場合、在庫不足を引き起こしてしまったり、発送の確認が漏れてしまったりする可能性があります。

作業ミスが増えやすい

ECサイトからの注文数が増えると、配送先もバラバラになるため、作業ミスが発生しやすくなることも課題のひとつです。
例えば、以下のようなミスが考えられます。

  • ピッキングの際、間違った商品を取る
  • 検品でピッキングの間違いを見落とす
  • 宛先を間違える

こうしたミスが発生すると、通常業務に加えて返品対応に人手と時間を割かなくてはいけなくなります。
また、返品に必要な送料なども負担しなくてはいけません。
特に宛先を間違えた場合は消費者からの信頼を失ううえに、個人情報を流出させる可能性もあり、とても危険です。

配送料の値上がり

配送料の増加も課題のひとつです。
なぜ配送料が値上がりしているのかというと、ドライバー不足による人件費の高騰や、原油価格の高騰による影響です。
自社の配送のシステムを見直し、値上げにどう対応していくか考えなくてはいけません。

個別の要望に応えなくてはいけない

EC物流では、顧客の要望に個別に応えなくてはいけない場面が多々あります。
例えば、ギフトラッピングや急なキャンセル、返品などへの対応などがこれに当てはまります。
注文された商品を発送する通常の業務に加え、このような業務にも時間や人手を割く必要が出てきます。

閑散期と繁忙期への対応

EC物流にも繁忙期と閑散期の波があります。扱っている商品によるものの、季節変動が激しい商品を扱っている企業では時期によってはあまり出荷がない一方で、繁忙期になると通常の人員だけでは追いつかなくなるほど業務に追われることもよくあります。繁忙期と閑散期の差が激しいほど、それぞれ適正な人員確保を行うことは難しくなります。

配送日時を厳守しなければならない

消費者が指定した場合や翌日発送などを売りにしている場合、配送日時を厳守しなくてはなりません。こうした期日は、誰かへのプレゼントであったり、その日までに届いてほしい理由があるなどの様々な背景が考えられるため、厳守しないと事業者への信頼が失われてしまいます。そのため事業者は、円滑に商品を発送できる体制づくりが必要となります。

さて、これらの課題はどのように対応して解決していくべきなのでしょうか。
次に解決策を見ていきましょう。

EC物流で抱える課題の解決策

EC物流で抱える課題の解決策として考えられるのは、以下の7つです。

  • WMS(倉庫管理システム)を導入する
  • ハンディーターミナルを導入する
  • 一連のプロセスを見直す
  • マニュアルを作成する
  • 共同配送を行う
  • ロボットを活用する
  • AIを活用する

こちらも、それぞれ順に解説していきます。

WMSを導入する

WMS(Warehouse Management System)とは倉庫管理システムのことで、物流品質や生産性の向上につながるシステムです。
倉庫への商品の入出庫管理や在庫管理などの倉庫業務を一括管理します。
複雑になりやすいEC物流の在庫管理もWMSを導入することで簡単に管理できるようになります。

ハンディーターミナルを導入する

ハンディターミナルとは主にピッキング作業や入出庫管理に使われる機械です。
2次元コードやバーコードをスキャンすることで情報を読み取ることができ、主な機能としては、

  • データの読み取り
  • キー入力
  • 商品情報などの画面表示
  • データの送受信

などがあります。
今まで手動で行っていた作業をハンディで行うことで、作業効率を高めることができます。

一連のプロセスを見直す

EC物流では注文から発送までの流れを滞りなく行うことが重要となります。
業務の中での問題点や改善すべき点がないかを日々振り返り、見直していきましょう。

マニュアルを作成する

業務をマニュアル化することで誰が業務を担当しても一定の質を保つことができるようになります。必要なノウハウや業務の進行方法などを共有することにより、ミスが発生しにくくなるメリットがあります。

共同配送を行う

共同配送とは、同じ地域に配達する異なる企業や事業所がそれぞれの荷物を持ち寄り配送業務を共同にすることで、トラックの積載率を上げる取り組みです。共同配送をすることによって、配送コストの削減につながります。

ロボットを活用する

人手不足や作業量の増加の問題には物流ロボットの貢献が期待されています。
商品のピッキングや仕分けを手伝うロボットや、自動搬送ロボットなどを活用すれば倉庫作業の効率が上がります。
物流ロボットには様々な種類があるため、自社の業務内容に沿って適したロボットを選択することで、倉庫が抱える課題を解決することができます。

AIを活用する

AIを活用することで業務の最適化をはかることが可能になります。
AIにより配車やルート選定を最適化しトラックの積載率の低下を解決したり、AIが業務内容を監視することで効率低下を招いている要因を見つけたりするということができるようになるからです。
また、例えばアパレル通販においてAIを活用することで、

  • SNSを解析して需要やトレンドを分析することで余剰在庫を避ける
  • 通販サイトでAIを活用したチャットボットを導入し、オペレータによる電話応対が終了している時間でも顧客対応をする

といったことが可能となり、最適化だけではなく顧客満足度アップへとつながることも期待できます。

以上のように、EC物流の課題を解決する方法はたくさんあります。しかし、これらの解決策を自分たちで取り入れるには人手やコスト、時間もかかってしまうので、なかなか体制が整わず改善が進まないという事業者も多いと思います。そこで、これらの作業をプロに代行を依頼する事業者も増えています。

EC物流代行で解決!アウトソーシングする際のポイント

自社でEC物流業務の対応をするのが難しいと感じた場合、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
アウトソーシングする際には、代行業者の選定が重要となります。
EC物流代行業務がどのようなものなのか、見ていきましょう。

EC物流代行サービスの基本

EC物流代行には、主に「3LP」と「フルフィルメント」の2種類があります。

3LPは「サードパーティー・ロジスティクス」の略称で、在庫管理やピッキングなどの物流機能全般をアウトソーシングするサービスです。一方、フルフィルメントは、3LPに加えて問い合わせ、返品交換、クレーム対応などのコール業務もサービスに含まれます。

EC物流代行サービスを利用するメリットデメリット

アウトソーシングする際のメリットとデメリットについて、以下のことが考えられます。

メリット
メリット①:コア業務にリソースをまわせる
メリット②:効率的な物流業務の実現
メリット③:物流コストの削減
メリット④:システムによる在庫管理

デメリット
デメリット①:自社にノウハウが蓄積されない
デメリット②:顧客情報の管理に注意が必要

メリットとしては、時間や自社の従業員にかかる作業負担をかけず、滞りなく業務を行うことができます。また、ノウハウのある代行業者を利用することによって物流品質が向上し、消費者の満足を得られる結果に繋がります。一方、デメリットとして、自社で対応することがなくなるため、物流体制のノウハウを蓄積することができません。また、熨斗の名入れやプレゼント包装などの個別対応を必要とする際に、対応ができない場合や対応可能だとしてもオプションでコストが高くなる可能性などが考えられます。

EC物流代行業者を選ぶときのポイント

実際に代行業者を選ぶ際は、どのような点を確認しておけばよいのでしょうか。ポイントを6つ紹介します。

  1. 出荷可能数に柔軟性はあるか
  2. 利用するECプラットフォームとの連携のしやすさ
  3. サポートの手厚さ
  4. 商品に合わせた対応
  5. 料金・費用
  6. 発送拠点

代行業者によって、個別の対応の可否や柔軟性などの違いがあります。自社の求める場所に発送拠点があるか、繁忙期や閑散期など状況によって柔軟に対応してもらえるかなどを考慮し、商品に合ったサービスを提供している代行業者を選ぶ必要があります。

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※Amazonは対応外となります。

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