食品の品質を守るための物流管理の重要性
食品の品質を守るための物流管理の重要性
2024.12.23
食品通販事業において、商品の品質を維持するためには、適切な物流管理が欠かせません。食品は特に温度や湿度に敏感であり、管理が不十分だと品質の低下や消費者の安全に関わる問題が発生する可能性があります。そこで、信頼性の高い物流代行会社に依頼することが重要です。
本記事では、食品物流に強い代行会社を選ぶ際のポイントでもある、『食品の品質を守るための物流管理の重要性』を解説します。
- 食品品質を守るための物流管理の基本原則
- 食品品質を守るための3つの品質管理
- 温度帯別物流とは?4温度帯管理で食品の鮮度を保つための仕組み
- クリーンルームとは?
- 食品管理に関する法規則とコンプライアンス
- まとめ
食品品質を守るための物流管理の基本原則
食品の品質を守るためには、いくつかの基本原則をしっかりと理解し、適切に実践できる物流代行会社を選ぶことが重要です。以下に、食品物流における代表的な基本原則を紹介します。
1)正確な在庫管理
食品物流では、ロット管理や在庫状況をリアルタイムで把握することが欠かせません。これにより、賞味期限/消費期限の管理や適切な在庫回転を実現し、食品の鮮度を保つことができます。
弊社では、OMS(Order Management System)およびWMS(Warehouse Management System)を活用し、「在庫管理」「賞味期限管理」「出荷期限管理」を行っています。
具体的には、以下の通りです。
厳正な賞味期限データ管理: 各食品の賞味期限データを厳正に管理し、先入れ先出し(FIFO)の手順を徹底しています。これにより、常に新鮮な商品をお届けします。
出荷期限管理: 商品の入荷時に、予め設定した出荷期限をシステムで管理しています。出荷期限が切れた場合は、システムからアラートが発せられ、現場担当者と即座に連携します。
柔軟な設定: 商品ごとに設定を変更することが可能で、賞味期限管理が必要な商品のみを対象に設定できます。システムに事前設定を行うことで、賞味期限が近いものから順に出荷されるように制御することができます。また、賞味期限の残日数を設定することで、特定の商品が引当てされないようにすることも可能です。
このように、システムを活用することで、食品の品質と安全性を確保し、消費者に信頼されるサービスを提供しています。
2)適切な温度管理
冷蔵・冷凍が必要な食品は特に温度管理が重要です。適切な温度で保管・輸送することで、食品の品質と安全性を維持することができます。温度管理の徹底は、消費者に安心して商品を提供するための基本条件です。
温度管理において、弊社では独自の工夫を行っています。例えば、毎年標準温度計を使用して庫内温度計の校正を行います。また、出荷時だけではなく、納品時の商品温度確認も行っています。
3)迅速かつ安全な配送
消費者に高品質な商品を迅速に届けるためには、効率的な配送体制が求められます。信頼できる配送キャリアと連携し、配送遅延や商品破損を防ぐための対策を講じることが大切です。
弊社では物流センター内に配送キャリアが常駐しており、定例ミーティングを行うことで、常に配送遅延や商品破損などの対策を検討しています。また、複数の配送キャリアと連携しており、お客様のニーズに応じて最適なキャリアをご提案することができます。
食品品質を守るための3つの品質管理
1)温度管理
重要性: 冷蔵・冷凍食品では特に温度管理が重要です。適切な温度を維持することで、食品の腐敗を防ぎ、鮮度を保つことができます。
具体的な管理方法: 温度センサーの設置、定期的な温度チェック、冷蔵・冷凍設備の導入
コスト: 温度管理システムの導入には初期投資が必要です。また、冷蔵庫や冷凍庫の設備費用、エネルギーコスト、保守費用がかかります。具体的には、冷凍庫の導入費用は数百万円から数千万円、年間の運用コストは電気代やメンテナンス費用として数十万円から数百万円に及びます。
2)湿度管理
重要性: 特定の食品は湿度にも敏感であり、適切な湿度を保つことで品質を維持できます。例えば、乾燥食品や一部の生鮮食品では湿度管理が重要です。
具体的な管理方法: 湿度センサーの設置、加湿器や除湿機の使用、定期的な湿度チェック
コスト: 湿度管理システムの導入には初期費用がかかります。特に、高湿度環境を維持するための機器や設備の設置費用、運用コストが発生します。湿度制御装置の導入費用は数十万円から数百万円、運用コストとしては電気代やメンテナンス費用が含まれます。
3)衛生管理
重要性: 食品が汚染されないよう、清潔な環境での取り扱いが求められます。衛生管理は、食品の安全性を確保するために不可欠です。
具体的な管理方法: クリーンルームの設置、定期的な清掃、従業員の衛生教育、適切な防護服の着用
コスト: クリーンルームの導入や維持には高額な費用がかかります。また、消毒剤や清掃用具の購入、従業員の衛生教育のための研修費用も必要です。クリーンルームの設置費用は数百万円から数千万円、年間の運用コストは数十万円から数百万円に及びます。
温度帯別物流とは?4温度帯管理で食品の鮮度を保つための仕組み
温度帯別物流は、食品の種類や保存条件に応じて異なる温度管理を行うシステムです。以下の4つの温度帯が一般的です。
常温帯
クッキーやインスタント食品など、常温保存が可能な食品に適用されます。
【対応商品例】
クッキー/インスタント食品/レトルト食品など
定温帯(10~20℃)
ワインやチョコレート菓子などの保存に適しています。
【対応商品例】
ワイン/チョコレートなど
冷蔵帯(0-10℃)
ハムや乳製品など、低温で保存することで品質を保つ食品に使用されます。
【対応商品例】
ハム/アルコール飲料など
冷凍帯(-18℃以下)
アイスやマカロンなど、冷凍食品全般に適用され、長期間の保存が可能です。
【対応商品例】
アイス/マカロンなど
弊社はお客様の商品にあわせ最適な温度管理ができる倉庫をご提供できます。
クリーンルームとは?
クリーンルームとは、空気中の微粒子や微生物を厳密に管理し、清潔な環境を維持するための特殊な部屋です。食品の加工や包装に使用されることが多く、汚染リスクを最小限に抑えることができます。クリーンルームの使用により、食品の安全性が高まり、品質が確保されます。
チョコレートのセットアップ作業や焼き菓子のセットアップ作業などは、クリーンルームで行う必要があります。弊社はクリーンルームを完備した倉庫をご提案できます。また、菓子製造業許可も取得しており、チョコレートや焼き菓子などのセットアップ作業も可能です。これまでに多数の実績があります。
クリーンルーム倉庫
クリーンルーム倉庫内での
「検品作業」
クリーンルーム倉庫内での
「セットアップ作業」
各種許認可取得倉庫
食品管理に関する法規則とコンプライアンス
食品の取り扱いには多くの法規則が存在し、遵守することが求められます。例えば、食品衛生法やHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point/危害分析重要管理点)などがあり、これらに基づいて適切な管理を行うことが必要です。また、コンプライアンスを遵守することで、企業の信頼性が向上し、顧客からの信頼を得ることができます。
弊社は総務・経営企画部という部門があり、リスク・コンプライアンスを担当するチームが所属しています。ここで品質管理の基準を構築し、作業のご協力を頂いている倉庫会社様や運送会社様も含め、順次、展開を進めております。具体的には以下の手順で構築を進めています。
1)品質管理調査シートによる現状の把握
2)品質管理計画書の作成
3)定例ミーティングなどによる現場部門との併走
参考URL:
「通販物流BLOG 三越伊勢丹グループならではの品質管理基準とは?」(2)
https://tsuhan-fulfillment.com/blog/single-news_0068.php
出典:厚生労働省『HACCP(ハサップ)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html
まとめ
食品物流における適切な管理は、消費者の安全と満足を確保するために不可欠です。温度管理、湿度管理、衛生管理など、様々な要素を総合的に管理することで、高品質な食品を提供することができます。法規則を遵守することで、信頼性の高い物流システムを構築し、食品通販事業の成功を支えることができるでしょう。しっかりとした物流管理を実現するために、物流代行会社の選定においては、これらのポイントを重視しましょう。